『ROCKS』/mana
ブホテル行ったんだよ。そしたらいきなり携帯鳴ってさ。初詣に行かない?って、今の奥さんが言うんだよ。僕はもう、即行でホテル出て、もちろん一発もやらずにさ、JRの駅まで送ってそのまんまだよ。元旦だよ? 電車なんてガンガン来るわけないじゃん。でももう、女の子の家まで送ると当確してる奥さんを迎えに行くのに間に合わないんだもん。ほんとにさ、僕って最低だよね。
僕とはまるで正反対の生き方だ。そして今でも彼はレールをひたすら忠実に歩いている。入ったそこそこ大手の会社もレールに沿って予定通りに下降してきた。そんな中で、彼はこれまた忠実に、奮闘するサラリーマンをやっている。そのうちきっと、「子どもが産まれました」なんてなハガキが僕の家にも届くのだろう。
それは一見、つまらない生き方のように見えるのかも知れない。けれど僕には僕のチープな「岸田クン」が、とてつもなくROCKに見える。
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