雨催い 雨舫い/クリ
 
雨催いが私に思い出させて止まぬ人がいる
かつて私が深く愛した人だ
二人は傘の下でなければ逢瀬を重ねること叶わず
小糠雨に温もりを奪われながらも
何処までも何処までも歩いた
その刹那の岸に雨雲を舫おうと二人
何時までも何時までも泣いた
陽のもとで一緒にいられる人へと
彼の人は去って行った

今にも降り出しそうな雨催い
私が彼の人に辿り着くまで
降り続けてくれることを
少しだけ考えては また


        Kuri, Kipple : 2005.07.19
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