悲しみについて/そう
 
あなたのちょっとした仕草や
ささいな言葉の切端に
どうしてだろう
こんなに悲しくなる

ただ歩いているだけ
ただ買い物をしているだけ
ただ笑っているだけ
なのに どうしてだろう
胸の奥に こんなに悲しみがある

あなたの眼が悲痛なさけびをあげる
涙がこぼれる
もはや これが あなたの悲しみなのか
わたしの悲しみなのか わからなくなる

どうしてだろう そのときだけ
泣きはらしたあとの
静けさからこぼれる笑み
あなたの愛情 あなたの愛憎のむこうで
木はこんなに愛らしく
人間は不自然にも自然だ


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