黒衣の子/
木立 悟
水に浮かんだ子のまわりに
鳥のように大きな若葉が
一枚 一枚と落ちてくる
子は枝を噛む風を見つめる
見ぬふりをする空を見つめる
黒い衣 黒い犬
黒い土の上に散らばり
水のなか
夜のなか
白い線 白い点
降りしきるなか
空に嘘をつぶやく子
あらゆる色が混じりあい
灰になった夜の水から
虫の赤だけが粒にひらめき
集まり 分かれ くりかえし
帯を失くした子のようにうつむく
戻る
編
削
Point
(2)