調音/木立 悟
 
 


海に近い砂の丘から
無数の骨が突き出している
かつてここで倒れた巨大な生き物の上に
浪に運ばれたものが積み重なり
石でできた枯れ木のような
蒼白い骨の森を造った
海からの風にさらされ
丘は失われた声に華やぐ
海からの光に照らされ
丘はやわらかな影にいきづく



闇が雨に乗り降ってくる
星を除いたすべての夜がまたたいている
この乱れた弦のような
世界を 言葉を
裁くことなく奏でるために
鈍くかがやく
抱えきれない火を抱えて
斜め上の空から降る音へと
世界の半身が引かれてゆくのを見る






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