音楽/
 

ただ、目を疑う

「こんなことがあっても良いのだろうか」


楽器は武器になることが出来たけれど
武器が楽器になる為には、その務めを全うしなければいけない
女は鎮魂の為に喉を楽器へと替え
奏者は皆、次々に銃を手に戦地へと赴いた


「すべての武器を楽器に」

鳴り止まない銃声はメトロノームよりも速い振れで空に木霊した
いくつもの重なり合いと戦車の砲撃音が見事な音調を形作った
大地をえぐる怒轟が舞台の臨場感を煽るアクセントとして吠え上がる
阿鼻叫喚の様々な音階が世界を殊更にリアルに描き出す

「すべての武器が楽器に」


運命、胡桃割り人形、華麗なる大
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