遺棄地/木立 悟
 
 


星のように
はじまりと終わりが溶けあいながら
夜の水は空を巡る
岩と岩の間から
枯野と土を錆つかせながら
夜の水は流れ出る


ゆるやかな傾斜に囲まれた道が
少しずつ雨にひたされてゆく
ひびわれた河原の裂けめには
金属のかけらがじっとかがやき
腹に虹を持つ魚のように
午後の世界は身震いをする


砂の上のかすかな光
人工の丘の向こうから
水のにおいはひろがりつづける
警告のために建てられた館が
無人のまま洪水を待っている
静かな空の機械の音が
次々と野に流れ込み
水辺の鳥を追いたてる







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