羽のはえた籠/木立 悟
 


雲を映した川を見ながら
遠くまで暗い空から
見えない水が降りそそぐのを知る
窓に 地に
鏡の午後に
切り離された
同じふたつの像が
濡れながら微笑むのを見る


陽のささない場所に咲いた花が
雨のなか 独りのまま
寄り添うようなにおいを醒ます
物に触れることのできない手が
歌と群青色を
羽のある籠に摘みとってゆく
誰よりも強い手が
誰よりも悲しい手が






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