僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。/ベンジャミン
 
僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。

その理由はいくつかあるのだけど、つまりそれは虫であるはずもない僕の外見からは想像もつかない。たとえば横断歩道をわたろうとするとき、わき腹のあたりがむずむずとして、ふと見るとろっ骨のあたりから気弱そうにおずおずと伸ばされた腕がきちんと動き出しそうな車を制しているということ。混みあった電車にやっとの思いで座れたとき、となりのお姉さんがきれいだったのでついつい少しなら触ってもいいかしらと思っただけなのに、気がつくとすっかりにらまれていたりするということ。

僕はきっと虫なのだと思うありふれた夜。

つまりそれは小さな自分がわずかでも成長しようとあがく
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