雷子の居た夏/千月 話子
ね。」
と おそるおそる聞いてみた
さとうたまお のように潤んだ瞳が好きだった
でも、もうそんな目で見られても
後ろに2・3歩 引くだけさ 雷子
そして、僕は やまだたろう で
ただの普通の男では、君を守ることも出来やしないよ
例えば ねずみの嫁入り みたいにね。
「ありがとう・・」と言って 静かに去って行った君は
次の年、風太 という男と結婚したと噂で聞いた
でも、君は 夏になると浮気の虫が騒ぎ出すのか
雷と 雨と 親父が 走り回る
そんな風物詩を作り上げて 今はそれも少し懐かしい
さよなら 雷子 さようなら
そして、君の弟の 砂嵐くんに
録画中 ざりざり にされたビデオの
歌だけが 流れる
愛しいフランスの女
エマニエル夫人に
さよなら・・・・
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