言葉の後/音の手前/太郎冠者
俺とお前は同じ黄色で
できたら
緑色に生まれたかった
と言ったのは
ギター片手に歌う兄さん
そうだね
俺はからだぢゅう毛に覆われて
いてもよかった
そして日長毛繕いをして
過ごして
好きな人の毛並みに
惚れ惚れして
夜も眠れないくらい
熱中していたかった
きっとそんな時
ボサノバやジャズなんか
似合ったりして
ふんふん言ったりして
音楽らしい音楽に
満ち足りていることでしょうよ
口惜しい
だが口惜しい
逆説の言葉に
転がされる舌
途方も無く
捲くられて
もう随分
ただれてしまったな
そうだね
まだ俺やあんたは
音楽の手前で
随分足踏みしているね
詩の後には来ているのかな
誰か叫ぶか?
俺が叫ぼうか?
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