木の芽どきの手紙/待針夢子
今日の夜も同じ事を祈る。
何もかも君に
嘲笑われるためのポーズ。
いつの時も
骨の髄でわななく
この
郷愁とよく似た欲望が
呪いにも魔法にも
ましてや奇跡にも変わらないって
僕はもう知っている。
けれどきっと
今日の夜も同じ事を祈る。
何もかも君に
嘲笑われるためのポーズ。
もう今以上の戯言には
吐き気がすると思っていたのに。
甲高いひかりを見ると
胸が高鳴ってしまいます。
浴室から五月の歌声を聞くと
肺が痺れてしまいます。
そのまま
泣いてしまったりする日が
やがてくるのが
今はただとても怖いです。
ただそれだけのことが、
とても。
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