片思い/ソラ
俺はある女を好きになった
愛していたと言ってもまだ足りないくらいに
だが彼女は他の男を選んだ
俺とは違う別の男を
彼女といる時間だけが俺の全てだった
一生それは変わらないとも
信じていた
だが
現実は残酷なものだ
ある日
彼女は俺にこう言った
”好きな人がいるの
あなたとは違う人なの”
その時
その一言で俺の世界は粉々に砕け散った
いや
ぼろぼろと崩れ落ちていったというほうが正しいかもしれない
時がたてばたつほどに
心の空白は広がり続けた
今ではもう
元の心の部分が俺の心なのか
空白の部分が俺の心なのかもわからない
もしかしたら
俺の心など初めからなかったのかもしれない
時が過ぎた
一分か
それとも百年か
誰にもわからない
ある時
ふと俺は世界を見た
大きな、そして重い扉を押し開けた
さび付いていて
耳をふさぎたくなるような音がした
そこには広い世界があった
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