おじさんの話/チアーヌ
焼き場の待合室
薄いお茶と干菓子
食欲なんかないけれど
暇で
口に運ぶ
隣ではあまり見覚えのない
地味なおじさんが
やはりお茶を飲んでいる
季節は夏
蝉が鳴いている
もう少しクーラー強くしてくれないかな
「そういえば」
何がそういえばなのか
よくわからないけど
ここからはおじさんの話
ある日のこと
おじさんは
家から少し離れた場所にある
山間の畑に行った
そして草刈をしていた
ちょうどおじさんの目線の辺りには
山と山を繋ぐ鉄橋が走っていた
人が歩くところではなく
線路だ
そこを
なんと
近所のボケたおばあちゃんが歩いていたのだった
田舎だから
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