大気に焦がれ/kw
 
都会の街に充満する廃ガスよりも
前方歩く男がふかすタバコの煙が喉を刺す朝
横断歩道の欄干へ両腕広げて立ってみた

隣には数珠繋ぎのカラスの一群
最左端の僕は異端の新参者
道路の川を下る自動車の頭上を
彼等と同じ死に色の瞳で
眺めて待つ羽ばたきの時

一匹が空へ飛び去ったのを合図に
太陽を追って追随する
羽根を持たない人間の僕は落下した
長方形の鉄の揺れる車体へ叩きつけられ
骨は砕け内臓は飛び出して

空に捨てられた身を呪ったまま
地に帰す

腐乱した肉体に集い来る銀蝿の足よ
僕の夢を叶えてくれ
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