ミッキーマウスの中身 2/チアーヌ
 
ューサーの羽根田が入ってきた。
「あ、お疲れ」
羽根田は軽く挨拶すると、机の引き出しをがたがたやり始めた。
「どうしたんですか?」
「本探してんだよ。今度来るタレント、あれ誰だっけ、あいつが出したくっだらねえ本を局長が読むって言うからさ」
「それならここです」
わたしは共有の引き出しを開け一冊取り出した。
「あ、そこだったか。ありがとう。じゃ」
羽根田はあわただしく部屋を出て行った。
和美は思い出した。前回ディズニーランドに言ったのは取材のときで、この会社に来てまもなくのときだった。で、そのとき、和美はまだディレクターだった羽根田とはじめて寝たのだ。
それから一年ほど、つかず離
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