かがみみるとき/木立 悟
枯れ枝をついばむ鳥は枯れ枝になり
木々の輪のなか 伝いさざめく
冬空をついばむ鳥は冬空になり
自身に雲を書きしるす
光に憂いを見るものの名を
書きしるす
一枚の光の鏡をはさんで
銀と緑は向かいあい
互いが互いの姿と知る
銀は緑の手をとって
はざまの鏡に笑いかける
緑は銀の手をとって
鏡のなかでひとつに重なり
いつか訪れる鳥のための
銀と緑の樹になってゆく
鏡をついばむ鳥は鏡になり
空を地に連れてゆく
人をついばむ鳥は人になり
空に溺れるはばたきを見て
少し泣きそうな思い出し笑いをする
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