夏の日 一/龍二
 
かった?」と心配そうに聞くので、「パン、売っているから」と説明した。それでも、心配そうだったので、僕は「生まれてから毎日食べてる料理に、不味いも何も無いじゃない」と言った。母は、納得した様な、少し呆れた様な、そんな表情をしていた。木造の階段を音を立てて登り、自分の部屋に戻ると、僕は眠った。明日も、同じ事の繰り返しだろう。ずっと同じ事の繰り返しだろう。夕飯には目を覚まそうと、緩い決心をしながら、眠りに就いた。僕は空気、誰からも見えないけれど、それで良いんだ。
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