夢の汽車に乗る人/服部 剛
 
トには
地上で生を受けたあの日
天使に預かった約束の手紙を入れて

夜空に青く光るあの地球(ほし)に住む
名も知れぬ全ての人の涙が光の滴となるように
夢の汽車に乗った男は今夜も
車窓から
両手を一心に組み合わせている

全ての人が人生の道を旅する背後には
果ての無い宇宙へと続く小さい穴が
誰にも気付かれずにひっそりと口を空けており
そこから彼の祈りは光となって
全ての魂に流れている

あの青い地球(ほし)の中で
男の愛した女(ひと)は
長い間うつむいていた顔を上げ
胸に夢の種を抱いて
その愛しい顔を太陽に向けて
美しい花を咲かせ始めた

[次のページ]
戻る   Point(3)