水の地/木立 悟
 
 

 
骨が雨を引き寄せる
道が暗く輝いている
聞こえない歌がとどろき
鳥はみな飛び去り
海を隠す林は
ほんの少し涼やかになる


荒地の泥が乾く角度で
天使がかしづいている
鱗の枝  鴉の巣
見捨てられた中庭の
午後の光のかたちの木


失われた血や
残ることのない技のひとつひとつが
作り上げてきた高地へと
花はたどりつく
鳥は廻り  水を呼び
音は地平に沿い
傾き ひろがり
言葉が 見捨てられたものを奏でるとき
午後の雨は降り下りる
痛みの雨は降り下りる





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