願い/
ノボル
一度
僕は
思い切り殴られてみよう
ガード下のあたりの
金属の匂いのする町
鼻は折れ
メガネは吹き飛ぶ
歯はぐらぐらで
足は痙攣したまま
もう
立ち上がることもできなくて
波のように
風だけが吹いてくる
そして
暮れる前の
陽の
滅多にない紅さ
ビルの窓が反射させている
光が
そのまま
そこに居てくれるよう
僕は願おう
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