雨の日のアメリア/小池房枝
 
どのくらいの広さで降っている雨なのか
心は探りに行く
夜に出てゆく

けれど心は気持ちでしかないので
体の外のことは何も感じられない


雨の立てる匂いの遠さと近さ
水の滞空時間

光りの屈折、木々のいらえ


水溜りの帯びる熱にも
雨滴と雨滴とのぶつかりあいにも

視線は届かない、耳はあかない


心だけは外に出てゆく
けれど何も感じられない

どのくらいの広さで降っている雨なのか
雨の終わりのところでは何が終わっているのか


戻る   Point(22)