赤い点滅/有邑空玖
 

あたしの町のあたしの川の向こうにはあたしだけの工場が在る。
其処は終日稼働式で、何時でも好きな時に好きなだけ眺める事が出来る。
くすんだ灰色の煙突は大した高さでも無いのに
チ  カ  チ  カ
と赤い光を点滅させて居るが、実はあれはあたしへの合図であたしは其れをちゃんと理解して居る。
チ  カ  チ  カ
でもあたしは其れに応える術を持たない。仕方が無いのでじっと眺める。
工場では少年達が昼夜問わず働いており、大人の影は何処にも無い。少年は錆の浮き出た前時代的な機械を日に数回点検し、其れ以外は何をするでも無い。
少年達は皆何処かしら繃帯を巻いて居る。眼帯をする者も居れば、腕を三
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