ボールパークに夢を 〜海を渡った侍 松井秀喜に捧ぐ〜/服部 剛
月に向かって走る列車の夢を見る
〜
うたた寝から目覚め
ティーカップの耳に指を入れ
顔を上げると
「 打った!マツイ!大きく舞い上がった白球は
ライトスタンドへー・・・! 」
マウンドの上で渾身(こんしん)のストレートを投げ込んだ投手は
がっくりと膝に手をつきうなだれる
落とした肩に妻や子供の面影背負(しょい)いこんで
両腕を広げた松井秀喜は微笑みを浮かべてホームベースへと走る
スローモーションの時間(とき)が流れる
ヤンキースタジアムの青空には
70年前に松井秀喜と同じユニホームを着ていたベーブ・ルースが
モノクロの顔で
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