僕の部屋/終
=僕の部屋=
サーッ、と鳴る音に起こされる。
彼女は、ベッドに腰掛けて白い窓を見つめていた。
息を潜めたまま、彼女のひえた背に手を伸ばす。
彼女は、黒いレースの下着が好みだ。
初めてはずしたブラのホックまで黒いスティールであしらわれていたことをなんとなく思い出す。
「雨だわ。」
相槌を打つ代わりに右手を引き寄せる。
「雨。」
腕にすっぽりとうずくまる、まるで黒い子猫。
「雨だわ。」
彼女の背に手を這わせる。
ぱちッ、とスイッチを鳴らす。
彼女は、ベッドの中でゆっくりと瞼を下ろす。
ひとつだけ大きく深呼吸する。
僕らの部屋に水が流れ込んでくる。
漆黒の真珠が零れ落ちていく中、初めての君は白い宙を見つめていた。
「雨だね。」
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