こころみ/るか
 
「かえして、ねえかえしてよ、あたしの世界。」
ばらばらになったのは、
あの日、
窓から自分の身体を放り投げたのは、
わたしたちという、世界そのものである。

あなたは、
蓬髪をさかだてて、
八月の黒い雨にぬれ、
へばりつく襤褸のなかで、
「どうしてわたしの顔は
どくろでないだろうか」
と、
今日、記憶の墓をふかく暴きながら、
頭蓋の窪みに溜まる光を
せめて まもりたいのですね?

こんなにも無力なわかいからだを
骸からうまれた骸の姉妹しか
みることのできないあわれな盲者を
海よ赦せ空よ赦せ
馨る葉と日の乱射よ ゆるせ

きこえている
繰り返し その命令を まだ柔らかだった
友の掌の約束を
わたしは 世界といい もういちど
ひろいあつめ うまれたいのです。

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