印旛沼サイレンス/
馬野ミキ
きみの首筋の血管を噛んだらきみは、
だまって抱きしめてくれるから
ぼくはホームランの意味を知らない
きみもきっと知らない
誰かが重要な会議に遅刻したみたいに大急ぎで三塁ベースを蹴って駆け抜けていくけれど
ぼくたちは
せめてファウルボールが当たらない梅園辺りで
いつか二人の星がみえる展望台のことを話しながら
深くゆっくりと呼吸をして
もう一度自分たちの名前から思い出すところからはじめ
わたしは、あじさいの漢字の書き方をきみに聞く
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