満ち欠け/紫音
今のあなたの世界は
とても満ち満ちて
とても輝いているのでしょう
あなたが満ちてしまえば
影となる私はそこには要らない
そんな関係なのでしょう
だとしても
だからこそ
あなたの影にはなりたくない
今あなたへの手紙を書きます
やはりあなたへ送るのはやめます
届かない思いを込めた
届かない手の外は
光の届かない闇の中へ
放り込んでしまいましょう
文字が滲みます
視界が歪みます
どうせ出さない手紙だから
それもどうでもいいのでしょう
私はきっと卑怯なのです
想いを伝えることもせず
あなたを見つめることもできず
自分の居場所も見つけられず
どこかで夜が明けないことを
祈り続けているのだから
明日が来なければ
あなたがあなた達になることは
ないのだと信じたいのだから
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