名乗りについて(二流詩人7つの条件補遺1)/佐々宝砂
 
「私を束ねないで」と書いた詩人・新川和江のことが私は大好きだけれども、あの詩はあんまり好きでない。束ねたければ束ねればよい。名付けたければ名付けてかまわん。カテゴライズしたけりゃ好きにすりゃいいじゃん。束ねられても名付けられても分類されても私は私だ。私は、自分の小詩集「マルメロジャムをもう一瓶」のなかで「あたしを再び望まぬ名で呼ぼうとするならば/あたしはあなたがたに爪を立てよう」と書いたが、ああいった抵抗は、正直言って古いもの、母の時代の民主主義の産物だと思っている。あの詩に書かれた思想は私の母たちのものであって、私のものではない。なんとなく念を押しておかねばならない気がするので書いておくが、自分
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