夏の虫/千波 一也
 

ほら、見てごらん
無数の蛍  
無数の蝶々

せっかく部屋を暗くしたのに

ほら、見てごらん
僕らはすっかり取り囲まれてる


吐息、ひとつ
(甘く、美味)

喘ぎ、ひとつ
(淡く、光り)


蜜と光を求める虫に君の波長が重なったらしい



限界まで火照ったところだ
丁度いい

おいで
おいで
夏の虫

飛んで火に「入れ」夏の虫


二人の瞳にふさわしく可憐に映える花火とかわれ


おいで
おいで
夏の虫

飛んで火に入れ夏の虫


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