デザイナー/たちばなまこと
体育の後の教室
濡れ髪のフローラルを手でおおいながら
つかのまの夏に飛び込んだ
空の青は私の青を許してくれる青で
急アングルにめまいながら
ただ 何かを得たいと思っていた
胸が腫れても 胸の奥は追いつけない
手足はもっと追いつけなくて 背伸びばかり覚えた
小さなからだを大人にしてくれる詩を探しに出掛けた
嘘が上手な店員には背中を向けて
私を待っていてくれる詩に出会いたかった
描(えが)きたい色にはいつも出会えなかった
どれをまとったって詩の中でからだが泳ぐ
長すぎる詩はひきずって汚してしまった
洗えばまた色褪せてクローゼットの奥で詩は泣いた
詩の中で息
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