八月の海鳴り/
嘉野千尋
を知っていた
君は今でもあの海の名前を覚えているだろうか
二十二の海と、一つの大洋
晴れの海から、静かの海へ
君に宛てた幾つもの手紙
嵐の大洋では、今夜も稲妻が輝いているだろう
何故だろう
地球の浜辺にいるのに波音が遠い
あれほど焦がれたこの星にいながら
僕はずっと月を見つめている
時おり、月の浜辺で君と聞いた波音が聞える
それは遠く近く、寄せては返す
あの八月の、月の歌声
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