旅を終える朝に/服部 剛
 
富山から鎌倉へ帰る旅の終わりの朝
旅の宿を貸してくれた
姉が作ってくれた目玉焼きを食べながら
居間の床に座る3歳の姪(めい)が
赤いリボンを頭につけたキティーちゃんのぬいぐるみに
話しかけるのを眺めている

3年前に生まれて間もない君が
姉の嫁ぎ先からはるばる実家へやってきた朝
白い衣を身にまとい
窓から射す朝の光にみたされて
ふとんの上で嬉しそうに
小さい手足をぱたぱたと動かしていた君の上で
天使達は音の無い祝福の唄を奏でていた 

3年で少し背が伸びて歩けるようになった君が
キティーちゃんを抱きかかえて
食卓に座る僕の方へかけよってくる

「幼稚園か
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