季語は流通する/コンパス
季語は流通する
つんのめりながら流通する
枯れ野を越え、遠山を越え
関東平野を越えて流通する
人から人へと流通する
ある時は雪をかぶった
実南天のように可憐に
ある時は水辺に咲く
浜木綿のように清らかに
美しく、癒しを求めて流通する
僕といえば
分厚いアノラックに身を包み
背中をこごめながら町を歩き
口を横一文字に閉めて
「俳句」のような寒い独り言をつぶやく
「俳人」である僕は
今日も詠うことを課す
1978年
埼玉県稲荷山古墳115文字の金象嵌
5世紀の鉄剣銘文の解像の結果
獲加多支ると読み取る
(る、の文字、国構えに九、ワード文書に見当たら
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