キルトに綴る、その鍵と/プテラノドン
 
に手を当てて覗き込む。―その矢先に、
彼の手は扉の向こう側へと吸い込まれた!
その手を誰かが掴み、ゆっくりと 扉が開く音がする。そしていま 
ようやく彼女の姿が―、
 
 アメリカのどこか。キルトを綴る女達。ハートの中に
つながれていく手と手。その光景を男は、もう何ヶ月も前から
ロッキンチェアーに座って眺めていた。ある夜、
キルトの中はもぬけのからとなった。トウモロコシ畑を抜けて
町を目指す男のうしろを、手だの、鍵だの、もろもろの愛がついて歩く。
どうやら、その長い列は まだまだ果てることはなさそうだ。



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