遠い猫/チアーヌ
 
実家の近所を走っている大きな道路がさらに拡張され、道路に近い住宅に住む人は立ち退きをしなければならなくなった。その地域は住宅街のかなり端の方に集中した。
わたしの家はそれほど道路に近くは無かったので、立ち退きをする必要はなかった。
何年もかけて、住宅街の端に住む人たちはいろんな地域へ引越しをして行った。
道路の大工事は10年もの歳月をかけ粛々と進み、その間にわたしは結婚して実家を離れた。そして気がつくと、道路はすっかり完成していた。

わたしは都会で暮らすようになった。中途半端な都会ではあるが、まぁ大きな地方都市ではあった。駅に程近い広めの3LDKのマンションの9階にわたしは暮らしていた
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