風に揺れる枝が言葉ならば/たりぽん(大理 奔)
梅雨の夜風に混じり込む体臭の湿気
雲にまいた砂混じりの渇いたため息
無気力にぽっかりあいた満月の
光子すらはらんで
みな本当の風を知らない
それらをすっかり失われた
古代の技術で精製して
純粋な光に戻したら
どんなにか 白く、まぶしく光るだろう
どんなにか 彼方を見通せるだろう
それらの現象は、言葉と同じだ
体という季節から発せられた
まぶしい光の集合に
あらゆる湿気や
ガラスの破片をはらませて
ただただみんなを傷つけていく
あなたと待ってみたい
この季節が移って
誰もがあさつゆのような
言葉を持ち
はるかそびえる
あの山稜に
光るこだまを
かえす日を
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