恋愛死/
恋月 ぴの
誰かに
みせつけるように
差し出した
蒼白い手首に残る
ためらい傷一筋
取れかかった瘡蓋
赤い傷口に
鈍く光る刃先
何故に
ためらったのか
死の際で垣間見た
希望と言う名のまほろし
もしくは
生きる本能に妨げられて
こめたはずの力が
するりと抜けて
あるいは
都合の良い言い訳を
はじめから
用意していたのか
死に損なった
この街で
うらべだらけの
ぬくもりに抱かれ
絶望と言う名の
朝がはじまる
戻る
編
削
Point
(5)