夜の音/
木立 悟
た赤子
来たところへと帰った赤子
鳥に映る鳥の姿
ひとつの羽からはじけるように
数え切れない羽にひろがり
ふたたびひとつの姿にもどり
鳥に寄り添う鳥の姿を
空にはばたく鳥の姿を
重なるかたちに繰りかえす
ひとつのなかに繰りかえす
夜を飛べない鳥がいて
目をふせ 夜を聴いている
砂の波は打ち寄せて
野と原の間を埋めてゆく
風に流れる足跡の影
冷たさのかたちと赤子のかたち
言葉になる前の言葉に照らされ
鳥は夜を越えてゆく
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