追悼(野本京子さんに)/白糸雅樹
 
をかけなかったことを
 
だから
 
珈琲をもっと丁寧に淹れよう
黄色く染まった銀杏の葉を拾い上げよう
いつか失うかもしれない人の荒れた手を握りしめよう
 
冬の日差しのなかにあなたのまなざしだけが残っている
 
あなたの新しい言葉だけが今はない
 
あなたの紡ぎだす新しい世界だけがない
 
眼を貸してくれてありがとう
 
ありがとう

               2003/12/08
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