儀式/葉leaf
手首の上をながれてゆく触覚を足の裏に溜める。肌からにじみでる殺意が皮脂に溶け込んでしまうのは、私の内なる単子が水を吸った海綿だからだ。水色の球面を幾度となくめぐり、針をうしなった摩擦力。角の取れた立方体。私は右手を挙げて、「冬に哭く者」を呼びとめる。もはや目線はつま先を追わずに、はぐれてゆく雲の投影だけが私のいらだちを終わらせる。もはや哭かないそれ(ヽヽ)は、乳房に蒼い火をともして私に盃を手渡す。水平面からあふれ出る泪が、大地へと、私へとこぼれ落ち、蒸気となって眼のなかへ吸い込まれる。遠いなぎさで虹色の泡が砕ける。私は泪の盃を飲み干す。それは、動物のおさえつけられた欲動からにじみ出た濁酒。植
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