*こうえん*/かおる
わたしのすんでいる街には みどりの浮き島がありました
車は街の血液で 年がら年中休みなく
金魚鉢のその街の
朝一番の挨拶は
やっぱり ことりのさえずりで
猫が眠そうなあくび目を傾ける
薄紅色のともしびが みどりのわたぼうしを点火する
名も知らぬ とりどりのいろも
絨毯に織り込まれ
いっせいにいのちがわきあがる
アツクルシイ声を閉じ込め
こみちも うっそうと濃くなっていく
振り仰ぐと もくもくの白さをくっきりと碧に映し出し
いずれ 街を飲み干すと
ドラムロールとともにガギグゲゴの煌めき
みどり色に抱かれたおもいが鈍色に発酵し
つめたく 澄んでいく毎にほほを染める
黄金を落としながら チリチリと紅く燃え上がる
冬将軍をも孕んだあおは
やがて 屋台骨ばかりになった丸裸の木々に
女王の忘れ形見を落とす
暮れなずむ街にもぽっかり茜雲
夜がしっとりと帳をおろしても
人は滅多に眠らずに灯りを求めてうろつき回る
そんな ときの狭間
みどりの風に吹かれに
今日もわたしは浮き島まで
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