夕陽が堕ちる/
千波 一也
もともと
あてになる眼ではないけれど
それでも
夕陽の色彩くらいは
心得ている
川辺は 減速を始めている
木立は 瞑想を始めている
鳥達は 安息を始めている
あきらかに夕陽の時刻
あしたへと向かうはずの
赤は
わたしの知らない方向とは
逆へ
真逆の道へと向かっている
夕陽が堕ちる
ともなって
わたしの行く先は
まだまだ 過去
絵はがきとして
誰かに渡っていったはずの
過去
夕陽が堕ちる
わたしは
まだまだ
眠られない
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