手像の指/
服部 剛
が顔を出し
歩き疲れた顔は少しほころぶ
門の向こうに並ぶ
お婆ちゃんと息子さんに手を振り
傘をさしながら小走りで
細道を引き返す
無人になった車内の運転席に身を沈め
繰り返される日々の疲れに
「 ふう・・・ 」
と溜息(ためいき)をついた後
ハンドルの下に宙ぶらりんの
右手の力無く曲がっていた人差し指を
雨水のつたうフロントガラスの向こうへ
まっすぐ 伸ばしてみる
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