ブタラジオ/プテラノドン
 

値札といっしょに、僕の字でブタラジオと書かれた
シールを剥がそうとする。
おじさんは「止めないか!」と言って
ラジオのスイッチを入れる。
誰もいない店内。流れる曲にあわせておじさんは
ブタの鳴き声を真似していたが、おばさんは
無視して二階へ上がり、穴のあいたストッキングを脱いでいる。
一階からはまだ、豚の鳴き声が聞こえていたが、
正しくは僕のいた、窓の外から聞こえたものだった。
どちらにしろだ、
―あのラジオが売れることはない。

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