ペンキ/
アンテ
風が舞っていた
ペンキの缶を
白く塗りつぶして
はけを投げ捨てると
ブーメランみたいにもどってきた
わたしの胸に
どすんと当たった
土を踏みしめて
丘を降りた
街のあちこち
白く塗りたぐられた場所を
ひとつずつ訪ねて
見知らぬ人たち
見覚えのない風景
なのに
わたしはまぎれもなくそこにいた
やっと家に帰り着いて
白いドアを開けて
白い部屋のまんなか
白い椅子にすわった
ただいま
わたしが言った
おかえり
わたしが言った
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