私の欲する心よ来たれ/
黒田康之
もし大地震が
完璧に予告できたとして
その街を走り去る
列車の運転手の心情を
私はわかるだろうか
逃げる
人々を乗せた列車が
予告された日
街を通りかかったとき
平常の時速で走り去れるものだろうか
職命として
たくさんの命を積んで
決められたレールの上を
安全な速度で走る心は
私には難しすぎる
大地震の
予兆の中を
走り去る男よ
あなたの心の到来を
私は震えながら待つ
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