あの日、飛び越えた五線譜を/
霜天
は聞こえない
逆さまにすると、ばらばらと音符が零れて
地面に吸い込まれていく
もう声は聞こえない
もう声はなぞれない
あの日よりも確かに世界は
溶けて、零れて、蒸発しているみたいだ
溶けていく、世界のすべてのすべてが
あの頃、僕らに混ざっていた寂しさを
小さな窓、投げ捨てたはずの物たちを
振り返る、その時に
触れることのできる距離のために
埋めるように、もう一度、手を当てる
戻る
編
削
Point
(7)