*タ行のリズム*/かおる
ジットリと纏わりつく雨のヴェールは
西からさし込むその日最後の煌めきを二重の架け橋に変容し
ジャン・フランソワ・ミレーが1863年の春に見かけた虹のように
夕ご飯の買い物客でごった返す街並を自然のことわりとともに
一幅の瞬間として巻き取り
ゆっくり 夜に飲み込まれていった
そして
しらじらとまた今日があけていく
結構 命の鼓動は 姦しい
チュン チュン チュンと ことりは さえずり
カラスも 朝から 呼んでいる
車だって起きだして
もう 右往左往と動き出す
私は大きく 伸びをして
眠れなかった昨日を 追い出すの
さわやかな 朝を たっぷり 吸い込んで
タッタッタッタと駆けていく
ツンツンとんがり帽子のあおい草
影はびろうどのぬくもりを
テンテンテンテンと転がって
とろんとろんと溶けていく
そんな一日のの始まりはいつもたちつてと
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