窓の外/チアーヌ
を取りセンターへ送られた。母も去年センターへ行った。
父は老人性の痴呆症にかかり、センターへ行くことになった。送っていったのは母だ。センターでは再生が行われる。父は今どこにいるのだろうか。母も、年を取ってしまった体を嘆き、僕のセールスマンとしての成功を見て思い残すことは無いと言い、自分からセンターへ行ってしまった。母も今頃はどこかで再生しているのだろう。
僕もいつかはセンターに行くのだろう。その前にできれば結婚し子供も欲しいが、なかなかセットの空きがないのが困った。それに、僕はこの古いマンションに住み続けたいし、条件に合う家族が見つかるかどうかは難しい。
僕は外の風景を眺めた後、マンション一階のターミナルからエアトレインに乗って会社に向かう。今日は契約に持ち込めそうな客がいるのだ。僕は彼の気をそらすことなく上手く事を運ぶことができるだろう。
エアトレインの窓の外には海が見えた。あれ、昨日は山だったのにな、と思った。
戻る 編 削 Point(5)